銀行からの融資あれこれ(借り換え・制度融資について)

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

顧問先の社長様が、最近、銀行からの借入金を借り換えされました。
借り換えについて、皆様、あまり意識されていらっしゃらないので、ご参考までに説明させて頂きます。

借り換えのメリット・デメリットについて

利息が安くなる

借り換えの目的は、これにあります。借入先が都市銀行や信用金庫によっても異なりますが、金利が約2%~3%以上の会社様は、毎年見直してみるとよいでしょう。

なお、毎年の見直し時期ですが、会社の決算が終わったときが良いと思います。決算が終わったら、決算書を銀行に出しますよね。そのときに郵送ではなく手渡しで決算書を渡すようにして銀行担当者会ってみましょう。そのときに金利の見直しをお願いしてみるとよいと思います。

最近借り換えされた弊事務所の顧問先様は、金利が約2.9%から約1.5%に変更することができました。

これは極端な例ですが、例え0.3%でも下げることができれば、借入金の元本次第ではありますが、大きな金額になります。

もちろん、銀行からの金利は、「その会社の評価(格付け)」、「その銀行との取引が長いか」「不動産担保の評価」といった事項を総合的に見て判断されますので一概にこうなるとは言えません。

なお、私の個人的な感覚ですが、都市銀行よりは街の信用金庫の方が、金利が低く、また融通がきくと思います。ですから、都市銀行から借り入れをされている方は、信用金庫への借り換えを検討されても良いかもしれませんね。

費用がかかる

借り換えには色々と費用がかかります。一般的には、次の費用が考えられます。

  • 借り換え手数料
  • 不動産担保の名義変更(登記手数料)
  • 保証料

借り換え手数料

借り換え手数料は、「今の銀行に払う手数料」と「新規に借りる銀行」との二つです。
いずれも数万円ずつで済むことが一般的ですから、あまり心配されることはないでしょう。

問題は、借り換えをすると、現在の銀行に違約金が発生する場合がある、ということです。
例えば、「10年以内に繰り上げ返済した場合は、借入残高の*%を払う」といった具合にです。
場合によっては、数十万円から数百万の違約金が発生してしまうかもしれませんので、必ず事前に確認してから借り換えすべきです。

不動産担保の名義変更費用(登記手数料)

不動産を担保につけている方は、今の銀行から新銀行へ、担保の付け替えをしなければなりません。
具体的には、銀行と提携している司法書士にお願いして、担保の付け替え手続きをしてもらいます。

これにも費用がかかります。内訳は「登録免許税」と「司法書士への報酬」です。

登録免許税は、「借入金の元本×0.4%」がかかります。借入金が1億円であれば40万円かかるということです。

司法書士への報酬は、借入金の金額によっても変わりますが、約10万円以下には収まるでしょう。

借入金が大きくなりますと、登録免許税も高くなってしまいます。この費用も考えて借り換えをするか判断しましょう。

保証料

保証協会をつけて融資をされている方は、保証料も新たにお支払いする必要があります。
ですが、普通は以前払った保証料の一部が戻ってくるはずですから、大きな追加負担はないでしょう。

取引をやめた銀行からは融資が受けにくくなるかもしれない

銀行も普通の商店と変わりません。お取引が長ければ、色々と融通を利かしてくれるものです。

ですが、借り換えをすると、前の銀行とは取引がなくなってしまいます。
その結果、前の銀行から新たに融資を受けたい場合は、今までよりも時間がかかってしまったり、融資を受けにくくなってしまう場合もあるかもしれません。

前の銀行さんが信用金庫であれば、毎月の積み立て預金を続けたり、新たに定期預金をつくってあげたりして、とりあえずの顔つなぎをしてもよいかもしれませんね。

 

制度融資をチェックしましょう

各自治体(都や区といった役所)が、「制度融資」という制度をおこなっています。
(名前は、制度融資、融資制度、商工業融資、といった風に、自治体ごとに違う場合があります)

これは、役所を通して借り入れすることにより、役所から利息や保証料の補助がでる、という制度です。

実際の手続きは、次の通りです。

 「役所の審査を受ける」 → 「銀行から借りる」 → 「役所から補助金が振り込まれる」

まずは役所に書類を出して、お金を何に使いたいか、審査を受ける必要があります。
審査が通りましたら、その後に銀行から借りることになります。
そして、(役所ごとに違いますが)半年~1年くらいたって、役所から利息や保証料の補助金がでます。

「中央区のホームページ」では、色々な例がのっています。

役所ごとに色々な融資制度がありますし、毎年変更されます。役所が補助をしてくれるわけですから、毎年役所のホームページをチェックして、当てはまるものがあれば、積極的に検討してみましょう。

 

借入金をうまく使いましょう

借り換えにしても、制度融資にしても、定期的な見直し・チェックが必要です。

特に、借り換えの検討は大切です。

借り換えについて、「今の取引銀行とは付き合いが長いからなぁ。担当者も良くやってくれているし・・・」とお考えになり、迷っていらっしゃる社長様も多いです。

ですが、銀行や信用金庫は、2年~3年ごとに担当者が変更になりますから、10年もすれば支店の全員が総入れ替えとなっていることも良くあります。

最近、借り換えをされた社長様は、前の銀行担当者の引き留めに(借り換えを切り出したら、すっ飛んできました)、このように対応されました。

「金利が高いままで、今まで、下げる提案を何もしてくれなかったよね。新しい借り換え先が決まってから急に金利を下げると言い出しても、フェアじゃないよ。」

この社長様は義理人情を大切にされる方です。ですが、ご家族や取引様を守るため、私に相談して頂いた後に、心を鬼にして決断されました。

弊事務所でも、会社の状況や社長様とのお話し合いによって、借り換えや制度融資を積極的に検討して頂いております。

借入金も、いわば財産です。うまく使いたいものですね。

※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。