税理士 石橋將年(いしばしまさとし)
最近、個人事業と会社、どちらで事業を始めた方がよいかというご質問を頂きます。今回は、会社を設立した際のメリット、特に信用力の向上について考えてみたいと思います。
社会的信用度の向上
会社というと、何となくですが個人事業よりも信用力が増すような気がします。それを実感するのは次のような場面になるでしょう。
銀行口座を法人名義で開設できる
事業を開始すると、売上先や仕入先から銀行口座を教えて欲しいと言われます。そのときに、「**株式会社」といった銀行口座であれば信用力が増す気がしませんか?
もちろん、個人事業でも「**商店」という屋号で銀行口座は作れますが、取引先が昔気質の方であれば、やはり会社名義の方が信用できると思います。
融資を受けやすくなる可能性があります
新規開業の時はあまり差がつかないかもしれませんが、事業が順調にいって大きな融資を受ける場合は、会社組織の方が有利な場合があります。特に都市銀行との取引は、銀行内部の稟議の関係で、大きな金額の融資は会社でないと難しいといえるかもしれません。
融資については、昔ほど、個人事業と会社とでは違いがなくなっているようなので、あまり神経質になる必要はありませんが、事業拡大の際は、頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。
登記情報を取引先が確認できるようになります
会社を設立した場合は、法務局に、その会社の会社謄本ができます。会社謄本とは、会社の大まかな情報を書いたもので、誰でも見ることができます。
会社謄本には、その会社の信用力を示す情報が色々と書かれています。例えばですが・・・
- 会社名(法人名)・・・名刺をもらった会社が実在するか?
- 会社住所・・・良い立地にあれば資金的に余裕がある?
(中央区や千代田区ですと、何か格好いい感じがしますね) - 代表者の住所・・・代表者(社長)が良い場所に住んでいればそれだけ儲かっている?
- 会社設立日・・・社歴が浅ければ、あまり信用できない?
- 事業目的・・・あまりにも事業目的が多いと逆に信用できない?
- 資本金・・・少なすぎると心配?
会社謄本は法務局にいけば、数百円で誰でもとることができます。新規の取引先様は、こちらの会社謄本を取り寄せて色々と確認しているかもしれません。
また、これは個人的意見ではありますが、会社の事業目的が多すぎる会社は方向性が決まっておらず先方に心配を与える可能性があると思います(色々な事業をやりたいのは分かりますが、ここはグッと気持ちを抑え事業目的を絞った方が良いと思われます・・・)。この辺りに注意が必要でしょう。
このように、会社を設立しますと、一般的にですが、個人事業よりも社会的信用が増すと言われています。そうなれば、取引先の拡大、優秀な人材の確保、広告効果も期待できます。積極的に検討してみたいものです。
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