会社の社会保険加入について考えてみましょう

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

今回は、会社が社会保険に加入する場合の問題点について考えてみましょう。

年金事務所からのお手紙が届いたら・・・

社会保険に加入していない会社あてに、年金事務所から「社会保険に加入しなさい」というお手紙がくることがあります。年金事務所は法務局の会社謄本データを見れますから、加入していない会社をチェックして、このようなお手紙を大量に送っているようです。
(ちなみに中央区の会社を管轄しているのは、銀座にある中央年金事務所になります)

会社は社会保険に加入すべきか?

会社(法人)は、社会保険の加入義務があります。(個人事業で従業員5人未満であれば加入義務がありませんが、法人の場合は必ず加入しなければなりません)。本来は会社を設立して、役員や従業員にお給料が出し始めたら、すぐに社会保険に加入しなければなりません。ですが、未加入の会社様が多いのもまた事実です。

マイナンバー制度が平成28年1月より開始されます。マイナンバーとは、簡単に言いますと、税務署が個人と会社にそれぞれ番号を割り振る制度です。特に注意が必要なのは、会社に割り当てられる番号(法人番号といいます)は、インターネット上で公表されるということです。そうなりますと、法人番号をもっている会社(つまり税務申告している会社)が、社会保険に加入していないのはおかしい、ということになります。

既に年金事務所は準備を始めています。定時算定という手続きがあります。年に1回、4月5月6月の3ヶ月分の給与額を年金事務所に届け出て、社会保険料の料率を改定するお手続きです。この用紙は本年度から改定され、新たに法人番号なるものを記入する欄が設けられていました。まだマイナンバー制度が始まっていないため、とりあえずは法務局で会社設立の際に割り当てられた番号を記入するようになっておりましたが、来年度からはおそらく法人のマイナンバーも記入させるようになるでしょう。そのため、加入していないで頑張ってきた会社様は、年金事務所からの格好のターゲットになってしまうでしょう。

そうならないように、未加入の会社様は、できるだけ早く加入手続きをするようにしましょう。加入手続きの書類をご自分で書くのは大変ですので、社会保険の専門家である社会保険労務士にお願いすると楽ちんです。

加入した場合のメリット・デメリット

加入した場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。

メリット

  • 従業員の福利厚生になる(会社でも厚生年金保険料を支払うので従業員が将来受け取る年金額が増える)
  • 従業員が障害を負った場合、障害年金の方が国民年金より保障が手厚い
  • その他もろもろ

デメリット

  • 会社や従業員の負担が増える(会社で半分、従業員で半分を併せて納付する)

メリットは大きいのですが、やはり会社負担が増えるため加入したくても加入できない会社様は多いです。また、従業員様も(将来の年金は増えますが)手取りが減るわけですから、嫌がる方もいらっしゃいます。ですが、上記でご説明したように、マイナンバー制度が始まりますと、未加入の会社があぶり出される訳ですから、今のうちから加入を検討されておいた方がよいと思います。

社会保険料の負担を少しでも軽減するには?

会社でも加入が必須になるのはご説明のとおりです。では、社会保険料の負担を少しでも減らすためには、どうすれば良いのでしょうか?これには実務経験豊富な社会保険労務士の知恵と経験が必要です。

弊事務所の顧問先様でのお話ですが、(守秘義務の関係で詳しくはお話できませんが)社会保険労務士のアドバイスに従って現在の給与体系を変更したところ、若干ですが社会保険料の削減につながりました。実務経験を多く積まれていらっしゃる社会保険労務士の先生ですと、色々な知恵と知識をお持ちです。会社での加入が必須になるなら、少しでも負担の減るような形にしたいところです。

会社負担は「税金+社会保険」の合計で考える

みなさん、税金については注意されます。ですが、社会保険料については、あまり考えていらっしゃらないのではないでしょうか?税金を払うと国に入ります。ですが、社会保険料(健康保険料や年金保険料)も払うと国に入ります。税金と社会保険、名前が違うだけで支払先はいずれも国なんです。そのため、これからの会社経営は「税金+社会保険料」でコストを考えていく必要があります。

給与計算をどなたにお願いしていますか?

ところで、御社は給与計をどなたにお願いされていらっしゃいますか?多くは次の3パターンだと思います。

  • 自社でやっている
  • 税理士にお願いしている
  • 社会保険労務士にお願いしている

自社でやっている、税理士にお願いしている場合は、一度、給与体系を社会保険労務士に見てもらうと良いかもしれません。というのも、残業代や日給単価の制度を見直しますと、社会保険料が削減できる場合があるからです。そのためには、やはり経験のある社会保険労務士の力が必要になります。「餅は餅屋」といいます。社会保険の世界は税務と同じく大変奥が深いものです。

また、年金事務所から社会保険の調査があり、どちらとでも判断できる微妙な事案があった場合、年金事務所職員との交渉に強い社会保険労務士ですと、こちらの考え方を強く主張してくださいます。税務調査に強い税理士がいるように、年金事務所との交渉が強い社会保険労務士がいるのも、また事実です。

 

弊事務所では、経験や実績のある社会保険労務士と連携をとり、顧問先様にとって最適な給与体系や就業規則を、日々考えております。「会社の社会保険料負担を少しでも減らすにはどうすれば?」「従業員とのトラブルが起きる前に就業規則を作っておきたい」等々。そのような悩みをお持ちの方は、提携している社会保険労務士をご紹介できます。お気軽にご相談ください。

※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。