税理士 石橋將年(いしばしまさとし)
中央区日本橋茅場町で開業している税理士の石橋です。
最近、色々な理由で会社を清算したいというご依頼を多くいただき、作業を進めているところです。本日は会社を清算することのメリットについて考えてみたいと思います。
会社を清算するメリットとは?
会社を清算する理由は色々あると思いますが、主なメリットは次のとおりです。
- グループ再編で税負担を減らせる
- 相続税対策
- 会社の維持費用がかからない
グループ再編で税負担を減らせる
ある程度の規模の中小企業でよくあるケースなのですが、親会社が別事業を始めようとして、100%子会社を設立し、その子会社の事業が上手くいかない場合は、親会社が子会社へお金を貸します。子会社の赤字が続くと、更に更に貸し付けます。そうなると、子会社の貸付金は億単位になることもあり、これをどう処理するかが問題となります。子会社を清算すれば、親会社の方では貸倒損失として損金(税務上の経費)にできますが、税務署は寄附金といった理由で、損金計上を認めてくれない場合もあります。そのような心配があるため、債務超過の子会社を清算するためには、本来の厳格な方法により清算手続きをすべきです。親会社の方で貸倒損失を損金に計上できれば、結果としてグループ全体の税負担が減りますので、かなりのメリットになるかと思います。
相続税対策
赤字続きの会社の場合、社長様が会社へお金を貸し付けていることが多いです。この貸付金、現実的には会社から回収できる見込みは殆どありませんが、社長様が亡くなった場合、相続財産として額面で課税されてしまいます。会社への貸付金を免除することもできますが、会社側で免除額が利益となってしまうため、会社側で課税されてしまいます。(ただし、会社清算時はこのような債務免除について課税されないことになっています)そのため、廃業をお考えの社長様は、速やかに会社を清算することにより、そのような貸付金への相続税課税を防ぐことができます。
会社の維持費用がかからない
会社は赤字であっても均等割(固定の地方税)や、決算のための税理士報酬を支払わなければなりません。例えば、賃貸収入が減少した物件に関する不動産管理会社は清算した方がよいでしょう。不動産管理会社には管理料方式、一括転貸方式がありますが、いずれも賃貸収入がある程度なければ、節税効果が見込めず、維持費用ばかりがかかってしまいます。これらの会社は速やかな清算をお勧めしております。(一括転貸方式の不動産管理会社は清算前に一定の事項を盛り込んだ賃貸契約の変更が必要ですので、ご注意ください)
会社を清算する前に、事業の継続見込みは本当にないのか、税負担で有利なのか、色々と検討したうえで、清算を実行すべきです。そして、清算を決断したのであれば、速やかに清算手続きを実行すべきです。(清算には官報掲載の関係で最低2ヶ月程度の時間がかかります)清算について、一度は考えてみましょう。
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