事業開始に当たっての許認可について(東京都中央区の税理士事務所)

会社設立をしただけでは、事業を開始することはできません。役所からの許認可が必要な業種もございます。

主な許認可について、簡単にまとめてみましたので、ご参考にしてみてください。

当税理士事務所(東京都中央区日本橋)では、開業に関する様々なご相談をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。

建設業

建設業を営む場合、建設業法に基づいて業種ごとに建設業の許可を受けなければいけません。

業種ごととは、土木一式工事・建築一式工事など28業種があります。
ただし、工事1件の請負金額が500万円未満の場合は必ずしも許可は必要ありません。
また、不動産業者が自社で建売住宅を建築する場合は、他から発注されたわけではないため、許可はいりません。

ポイント

ご自身で許認可書類を書いて申請することも可能ですが、多くの方は行政書士にお願いして申請してもらっています。
行政書士への報酬は10万円~30万円程度が一般的なようです。
ご自分でやるのは時間がもったいないですから、行政書士にお願いした方が無難と言えます。

許可を受けるための要件

「1.経営業務の管理責任者」
建設業には経営業務の管理責任者となる要件に該当する者を常設しなくてはいけません。
経営業務の管理責任者とは、個人事業主、常勤役員、経営者に準ずる地位等の経験が一定年数以上あり、管理責任者としての経験がある者をいいます。
必ずしも代表取締役である必要がありません。
常勤であることを確認するものとして、健康保険被保険者証、住民税特別徴収税額通知書等の掲示が求められますので事前に準備しておきましょう。

「2.専任技術者」
建設業の許可を受けるためには専任技術者も必要となります。
専任技術者とは、許可を受けようとする建設業に関し、学歴等により3年~10年の実務経験がある者や、業種により定められた国家資格等を有している者をいいます。
専任技術者は全ての営業所に置かなければなりません。
年数を証明するための書類の提示、常勤性を確認する書類の提示が必要になりますので事前に準備しておきましょう。

「3.財産的基礎・金銭的な信用」
建設業の許可を受けるためには財産的基礎・金銭的な信用が必要になります。
財産的基礎・金銭的な信用の判断要件は以下のようになっています。

  • 自己資本の金額が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力がある

「4.事務所の設置」
営業を行おうとする事務所が、申請者が所有している建物であるか、または申請者自身が借主で営業を認められた賃貸物件であることが必要になります。
許可申請の際に、賃貸借契約書及び建物の登記事項証明書が必要になります。

 

トラック運送事業

トラック運送事業は大きく分けて2種類に分けられます。

「1.貨物自動車運送事業」
トラックを使用して荷主の荷物を運送する事業で、運送会社といわれるものの多くはこれに該当します。
荷主の方から依頼を受け、運賃を受け取るものは、全てこの事業になります。

  1. 一般貨物自動車運送事業
    複数の荷主から有償で自動車を使用して貨物を運送する事業。
    霊柩運送もこれに該当します。
  2. 特定貨物自動車運送事業
    特定の者から、有償で自動車を使用して貨物を運送する事業。
    一企業の専属運送会社として、特定企業の荷物のみを運送している会社がこれに該当します。
  3. 貨物軽自動車運送事業
    複数の荷主から有償で貨物を運送する事業で、使用する自動車が三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車のものをいいます。
    軽トラックでの配送やバイク便などが該当します。

「2.貨物利用運送事業」
自分では貨物自動車等の運送手段を保有せず、他の者の行う運送を利用する事業で、貨物運送取扱事業ともいいます。
一般的には、貨物自動車運送事業の許可を受けている場合、貨物利用運送事業も同時に行っているケースが多いです。

許可を受けるための要件

トラック運送事業にはさまざまな種類ので、ここでは、一般貨物自動車運送事業と貨物軽自動車運送事業について述べていきたいと思います。

「1.一般貨物自動車運送事業許可の基準」
一般貨物自動車運送事業の許可を受けるためには、下記の要件が必要になります。
(これ以外にも細かな要件があります)

  1. 営業所の規模、位置
  2. 車両台数
  3. 車庫
  4. 休憩・睡眠施設
  5. 運行管理体制
  6. 資金計画

「2.貨物軽自動車運送事業」
この事業は許可を受ける必要はなく、下記の要件を全て満たし、運輸支局長への届出を行うことで業務を開始することができます。

  1. 車庫について
    この場合は、原則として営業所に併設している必要があります。また併設が難しい場合は営業所から2㎞以内までとすることができます。
  2. 必要な車両数について
    軽トラックで1両から始めることができます。
  3. その他の要件
    車両を自賠責保険・任意保険の加入する必要があります。また、この他にも細かな要件があります。

 

職業紹介事業

職業紹介事業には以下の2種類があります。

  1. 有料職業紹介事業
    無料職業紹介以外の職業紹介を行う事業、営利目的とするか否かに関わらず、職業紹介に関し、対価をもらう職業紹介事業をいいます。
    この事業を行うためには、厚生労働大臣に職業紹介事業の許可を受ける必要があります。
  2. 無料職業紹介事業
    手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介事業をいいます。

許可を受けるための要件

ここでは、有料職業紹介事業の許可を受けるための要件について説明します。

1.事業所の要件

「1.職業安定法による縛り」
事業所は、法人との賃貸借契約が必要となります。法人化の際には事前に準備する必要があります。
また、有料職業紹介事業を行う事業所は、使用面積が概ね20平米以上ある等の要件があります。

「2.事業所要件についての取り扱い」
求職者の個人情報保持のための措置を講ずることが要件とされています。そのための鍵付きの保管庫等の設置が必要となります。
ただし、インターネットにより対面を伴わない職業紹介を行う場合については、面積の大小では判断しないこととなっています。

2.職業紹介責任者の選任

職業紹介責任者とは、職業紹介責任者講習を5年以内に受講した者で、3年以上の経験を有する方です。

3.労働者派遣事業との兼業

求職者が希望する会社への就職前に、自分に合う職場かを見定めることができるシステムを「紹介予定派遣」といいます。
このシステムは、派遣社員との合意が得られた場合は、3ヶ月~6ヶ月間締結される派遣契約をいいます。
紹介予定派遣を行う場合、一般労働者派遣事業許可を同時に受ける必要があります。
その場合以下のような要件が必要となります。
・求職者の個人情報と派遣労働者の個人情報が明確に区分されていること
・派遣先情報と求人者情報が別々にきちんと管理されること

4.財産に関する判断

有料職業紹介事業では、以下の要件が課せられています。なお、これらの判断は事業主単位であり、支店・営業所ごとの判断ではありません。
・純資産の部が500万円に事業所の額を乗じた金額以上であること
・自己名義の現預金の額が150万円に事業所の数から1を引いた数に60万円を乗じた金額を加えて得た金額であること

 

人材派遣事業

労働者派遣事業には2種類あります。

「1.一般労働者派遣事業」
登録型派遣事業で一般的な派遣会社に該当します。
事前に登録されている者、臨時、日雇いの労働者を派遣します。
厚生労働大臣の許可が必要です。

「2.特定労働者派遣事業」
派遣労働者が常時雇用される労働者のみの労働者派遣事業です。
厚生労働大臣へ届出をする必要があります。

許可を受けるための要件

一般労働者派遣事業における許可を受けるための基準について説明します。

1.事業所の要件

法人との賃貸借契約が必要です。ですので、法人化の際には事前の準備が必要です。
他にも

  1. その事業に使用しうる面積が20平米以上
  2. 風俗営業等が密集する等、事業の運営に好ましくない位置にないこと

等の多くの要件があります。

2.事業主への判断

事業主については以下の要件が課されています。

  1. 派遣労働者の福祉増進を図ることが見込まれるもの
  2. 住所及び居所が一定しない等の生活根拠が不安定なものでないこと
  3. 他人の精神・身体及び自由を拘束する恐れのない者であること
  4. 公衆衛生・公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること
  5. 名義借りでないこと
  6. 外国人は入管法の在留資格を有する者であること
  7. 法人化した際には役員全員がこれらの要件を満たしていること

3.派遣元責任者の選任

派遣元責任者とは、派遣元責任者講習を過去3年以内に受講した者で、次の要件のうちいずれかに該当する者です。

  1. 3年以上の雇用管理の経験を有する者
  2. 職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
  3. 民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者

4.労働保険・社会保険への加入

労働派遣事業を行うには、事前に労働保険、社会保険へ加入しなくてはいけません。

5.財産に関する判断

下記のような財産的基礎に関する判断がなされています。

  1. 純資産の部が2,000万円に事業所の数を乗じた金額以上であること
  2. 純資産の部が、負債総額の1/7以上であること
  3. 自己名義の現預金が1,500万円に事業所の数を乗じた額以上であること

 

上記以外にも細かな要件があります。詳しくは税理士、行政書士等の専門家にご相談ください。