遺産分割協議書の作り方は?(製本や押印について)
遺産分割協議書を自分で作ろうと思います。
文面や内容は、市販の本を参考に書いてみました。
ですが、作った書類の枚数が多く、どこに押印すれば良いか分かりません。
具体的な書類の閉じ方や、押印場所について教えてもらえませんか?
税理士 石橋將年(いしばしまさとし)
遺産分割協議書が何枚にもなるようでしたら、契印テープを使う方法がラクでお勧めです。
(契印テープは大型文房具店やネット通販で買うことができます)
表紙を作った方が、見栄えが良く、万が一、コーヒー等をこぼした際も内容が保護されますので安心です。
また、押印箇所も、袋とじをした方が、押印箇所も少なくなりますので、ラクになります。
遺産分割協議書の本文(内容)は、パソコンで打つことになります。
手書きでも有効ですが、間違いがあった場合、訂正の方法が面倒ですので、パソコンで清書しましょう。
表紙は必要か?
結論から言うと、表紙はなくても構いません。
ですが、次の理由により、表紙があった方が良いと思います。
- 内容が他人に見られにくい
表紙がないと、いきなり本文から始まるため、資産内容が他人の目に付くかもしれません。 - 内容の保護
お茶等をこぼした際も、署名押印部分が保護される可能性が高いです。
また、表紙の「遺産分割協議書」のタイトルの下に、被相続人**、相続人**と書く方法もありますが、これは好き好きの問題だと思います。
(当事務所の場合は、基本的には、遺産分割協議書というタイトルだけにとどめています)
枚数が多くなってしまう場合は?
資産の種類が多い、相続人の方が多いといった方は、遺産分割協議書が1枚ではなく、数枚に渡ってしまうこともあるでしょう。
その場合は、遺産分割協議書に割印(わりいん)を押すべきです。
割印とは、その書類が確かに一体のものである、ということの証明です。
もし割印がないと、悪い方がホッチキスを外し、書類を差し替えてしまうかもしれませんよね。
ですから、割印は必ず必要となります。
ところで、割印の方法ですが、次の2つの方法があります。
順番にご説明していきましょう。
1.袋とじをしない場合
袋とじ(書類を専用テープ等でとじること)をしない場合は、遺産分割協議書の各ページに、上記のように実印で割印をしていくことになります。
この方法は、専用テープを買わないで済むため、一見ラクに思えるかもしれません。
事実、2枚~3枚程度であれば、この方法で十分だと思います。
ですが、それ以上の枚数になるようでしたら、つぎの、袋とじをする方法をおすすめします。
2.袋とじをする場合
私自身が遺産分割協議書を作成する場合は、ほとんどのケースで、この「袋とじ」による方法により作成しています。
袋とじをする場合、製本テープを使って製本します。
(製本テープ、契印テープ等で検索すれば、たくさん出てくるので迷うことはないでしょう)
製本テープは何でも構いませんが、遺産分割協議書と同じ色のテープを使用しましょう。
(紙が白であれば、テープも白を使いましょう)
製本テープには、カットタイプのものもあります。
製本テープの使用方法
一般的な製本テープは、次の図のように、真ん中で分かれるタイプが多いです。
そのため、このタイプで製本した場合について、ご説明していきましょう。
1.製本する用紙に合わせてテープを切り、はくり紙を半分だけはがします。
2.テープ中心を、用紙の厚みに合わせて裏面から貼っていきます。
3.残りのはくり紙をはがし、背から表紙面に向かって貼っていきます。
4.製本の完成です。
5.実印での押印
袋とじをした場合は、次のように表紙と裏表紙にそれぞれ割印(実印)を押せば、中にそれぞれ割印を押す必要はありません。
このように、表と裏とを、テープでとじて、それぞれに実印で押印すれば、抜き差しして改ざんすることは、事実上不可能になります。
実務上は、遺産分割協議書に割印が必ず必要となってきますので、お気をつけください。
(割印がなければ、各役所や銀行が、名義変更を認めてくれないからです)
以前、私がお手伝いした相続で、遺産分割協議書が20枚程度になるものがありました。
不動産がもの凄く多く、土地や建物を一覧表形式で作成しました。
また、預貯金も海外財産があったので、その表記も工夫しました。
袋とじの方法で遺産分割協議書を作る方が、押印が少なくて済む、見栄えが良い、といった点でオススメです。
是非、ご自分で挑戦してみてください。
※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。