インタビュー

石橋先生が今までお仕事をされてきて、一番苦しかった出来事を教えて頂けますか?

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一番苦しかったことといえば、大きな相続のお仕事でしょうか。

税理士がやる相続というのは、簡単に言いますと、相続税を計算することです。極端な話しですが、
「相続税は300万円になりますので、税務署に払ってください」というのがお仕事です。

ですが、そんなに簡単にいかないお仕事もございます。

数年前の出来事ですが、資産数十億円の方の相続をお受けしました。これくらいの規模になりますと、相続税を計算するだけでも大変なんですが、何より問題なのは、銀行からの借金も数十億円あるということでした。

借金より財産が多いですから、数億円の相続税を払わなければなりません。さらに、数十億円の借金の返済もしなければなりません。税務署だけでなく、銀行からの取り立てにも気を配る必要がありました。

残されたご家族様は事業にタッチしていませんでしたから、「石橋先生のご判断にお任せします」とのことでした。私も何とかしなければと思いまして頑張りましたが、プレッシャーは相当なもので、半年ほどはきちんと眠れない日々が続きました。

まずは、税務署に税金の支払い方法を説明しに行きました。税金のやっかいなところは、期限が決まっていることなんですね。書類を出すにしても、税金を納めるにしても、全て期限期限です。時間との戦いとなります。

さらに、銀行への説明もあります。借入先は3銀行ほどありましたので、それら全てに、今後の返済方法について説明しに行きました。

普通、借入について打ち合わせる際は、借入をした銀行支店に行きます。ですが、個人で大きな借入をしている方は、銀行も特別部門で管理しているんですね。(大手都市銀行の特別部門は麹町や日本橋にあることが多いです)

お客様と一緒に行くのが原則ですが、最後の方は、私一人で銀行に行き、説明することも多かったです。また、銀行担当者も、きちんと説明して欲しいということで、私の事務所に直接来ることもありました。

その銀行のうち、特に厳しかったのが**銀行でした。
銀行担当者は「なんでこんな状態になったんですか!返済計画を提出してください!」と、荒っぽい口調で責め立てます。
私も「きちんと予定どおりに返していますから問題ないでしょう。今まで通りの返済ペースで返済させてもらいますよ!」と頑張って応戦しました。

私も、銀行の方は全て紳士的な方だと思っていたのですが、考え方を改めました(笑)

半年以上頑張って、税務署も銀行も説得しました。そして、無事に税金を払い終え、借入の返済計画も銀行に了承して頂けました。

それは聞いているだけで大変なご経験でしたね。ですが、そこまで税理士先生がやらなければならないのですか?

借入はお客様が作ったものですから、本来はお客様本人がご説明すべきものです。
ですが、それが無理な場合は、お客様をお守りすべく、税理士がお客様の盾となるべきだと思うんですね。

これは税理士でないと無理だと思います。それも個人で開業している税理士でないと。
弁護士では数字や税金が分かりませんし、大手税理士事務所では義理人情では動きませんから。

半年間は、普通の業務をほっぽり出して、税務署と銀行へ自転車で行き来する日々が続きました。全ての関係者の打ち合わせ回数を数えると100回くらいにはなっているかもしれません。

このお仕事では報酬を多めに頂戴しましたが、はっきり言いまして、かかった時間と心労を考えれば、大赤字でした(笑)。

ですが、私が頑張ることによって、少なくともお二人(残された配偶者様とお子様)の人生をお守りできた。それは今でも誇りに思っています。

なぜそこまで頑張られるのですか?

これは私の父親の影響が大きいかと思います。

私の実家は築地で乾物屋を営んでおります。バブルの時は景気が良くて、人が足らない状況でした。両親は土日休みもなく、睡眠時間も削り、危ない投資もせず、真面目に働きました。

その父親の口癖が「損をしても人の役に立ったならいいじゃないか」ということでした。
私が税理士として開業し、赤字の仕事が続いたときに、父親に相談すると決まってこのように言うんですね。

確かに、実家のお店にある帳簿を見ますと、それが分かりました。信用している取引先に貸したお金が戻ってこない、こちらが利益が出なくとも先方のことを考えて取引を続ける・・・。結果的にお店は残っているわけですから、父の考え方は正しいと思っています。

ですから、私も目先の利益ではなく、人のために役立つことをしていれば、いつか報われると思いました。自己満足といわれるかもしれませんが、これからも損得を考えず、誠心誠意頑張っていこうかと思っています。

逆に、お仕事で嬉しかったことは何ですか?

これは、お客様から「ありがとう」のお言葉を頂いた時ですね。
とくに、難しい仕事であればあるほど、感謝のお言葉を頂いた時、嬉しいです。

以前、このような出来事がございました。
ある会社(小売業・不動産賃貸業をされていらっしゃいます)の60歳代の社長様が、
「石橋さん。なんか、安い税理士に変えませんか?みたいな営業電話がかかってきたよ。だけど、僕は石橋さんに一生ついていくよ!」とのお言葉を頂きました。
その社長様からは、普段から色々なご相談をお受けしておりました。
今後の借入金返済のこと、奥様のご実家の相続問題のこと、今後の事業展開のこと・・・。
これらを真剣にお聞きして、解決すべく、私も一生懸命お手伝いさせて頂きました。その気持ちを汲んでくださり、先程のようなお言葉を頂いたわけです。ですから、本当に嬉しかったです。

また、先程の大きな相続が無事終わったときも、感謝の言葉を頂戴しました。
普段、あまり感謝の言葉をおっしゃらないお客様なのですが、全てのお仕事が終わったとき、
私が「ありがとうございました」とお話ししたら、
「いえ、こちらの方がありがとうございます、と言わなければなりませんよ」とおっしゃって頂きました。

いずれのお客様にも、時間をかけて真剣にお付き合いする、という私の姿勢を評価して頂きましたので、とても嬉しかったですね。

なるほど。それで事務所のキャッチコピーを「顧客第一主義を徹底し、顧問先に貢献します。」とされたのですね。

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そうなんです。

一般の方は、「どの税理士がどれくらいの知識を持っているか?」ということは分かりません。税理士を選ぶ際は、人柄や熱意、仕事への姿勢で判断するしかないと思うんです。

ですから、私のモットーである、「顧問先様のことを一番に考える」という意味を込めて、このようなキャッチコピーにさせて頂きました。

 

 

 

どのようなご依頼やご相談が多いのでしょうか?

皆様、ご相談内容はまちまちですので、一概には言えませんが、次のようなご相談やご依頼が多いです。

  • 事業を始めようと思っているが、丁寧に相談に乗ってもらえる税理士を探している
  • 不動産投資を考えているが、税金のことだけでなく物件管理のことなども相談したい
  • 確定申告を自分でしていたが、どうせお願いするなら優しそうな税理士さんにお願いしたかった
  • 個人事業を会社にしたいが、事前に節税効果をシミュレーションして欲しい
  • 今の税理士先生が高齢で引退されるので、次は若くて親切そうな税理士さんにお願いしたい

当事務所は街の会計事務所ですので、やはり中小企業の社長様や個人事業者の方からのご相談が一番多いです。

ですが、街の税理士では対応できないような、少し難しい不動産の税金、相続税対策についても多少の自信がございます。

また、少し変わったご依頼としては、「税金を間違って多く払ってしまったので税務署から戻してもらいたい」、「相続税の納税ができないので物納したい」、といったご依頼もありました。

難しいご依頼でも、お客様の励ましがあれば、税務署から厳しくされても頑張れます(笑)

また、石橋先生の事務所では不動産オーナー様に向けたサービスも充実している印象を受けます。これはどのような経緯からサービスに力を入れるようになったのでしょうか。

私のお客様で、地主様がいらっしゃいます。
その地主様は、代々受け継がれた多数の土地を、ご自分で運用されてきました。

時はバブル最盛期。地主様は、相続税対策でご自分の土地に次々とアパートを建てていきました。その地主様は、税務(不動産に限ってですが)については、その辺の税理士以上に知識をお持ちの方で、ご自分で土地の交換もされていました。

これらのアパート、建てた当初は良かったのです。バブル崩壊前は、地方から上京した若者の需要が多く、1LDKが満室になりましたから。
ですが、バブル崩壊後、少子高齢化時代に突入しました。保有している数棟のアパートには空き室が目立ち始め、借入金返済に追われる毎日・・・。
建築当初は、入居率を90%以上と見込んでいたのですが、現在は約70%程度です。家賃収入は年々下がるわけですから、借入金返済も追いつかなくなってきます。

このようになった原因はいくつか考えられますが、一番は「信頼できる専門家が身近にいなかった」ということに尽きるのではないでしょうか。バブル時に、損得を考えず親身になって考えてくれる専門家に相談できていれば、このようなことにはならなかったかもしれません。

また、別のあるお客様では、賃貸物件について、不動産会社がきちんとケアしてくれないケースもありました。
大手であれば、賃貸契約にあたって、代表者や保証人の所得証明、決算書等の提示を求めるのが普通なのですが、それさえ求めず、信用して貸してしまう不動産会社もいまだにあります。(これらの賃貸契約書は不備があることも多く、家賃が不払いになっても、なかなか追い出せないということもありました。)

このようなお客様へのご対応が多かったものですから、普通の税理士よりは不動産オーナー様へ貢献できるかと思い、このようなサービスを提供させて頂いております。

私の実家も賃貸不動産を所有しておりましたので、その意味でも、不動産オーナー様のお悩みを共有できるかと思います。

最後にホームページを見て、ご相談やご依頼をしようとお考えの方に一言お願いします。

会社設立、不動産の税金、個人の確定申告・・。税金に関するお悩みは人それぞれだと思います。

弊事務所のモットーは

「数少ないお客様に、最大限のサービスをする」

ということでございます。

今までお話ししたエピソードをご相談頂いた全ての方に実行しようとしますと、私が3人くらい必要になってしまいます(笑)

ですので、大変恐縮ではございますが、一定の条件に該当する方のみ、ご相談をお受けさせて頂いております。

※詳しくはお問い合わせフォームをご覧ください。

ですが、一度、お引き受けすると決めたら、私の知識・経験全てをもって、頑張らせて頂きます。

本日はありがとうございました。石橋先生の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

(平成27年5月上旬インタビュー)

インタビュー:問題解決!できるホームページ(http://www.1980.jp/)